例えば、廊下で知り合いとすれ違ったのに挨拶をされなかったとします。
その状況で「あの人は私のことを嫌いなんだ」と考えたら、悲しい気持ちになり、その人と距離をとるといった退却行動をとるでしょう。「怒らせることをしてしまっただろうか」と考えたら、不安な気持ちになり、その人を避けるといった回避行動をとるでしょう。
その逆の流れもあります。例えば、その人と距離をとるといった退却行動をとり続けていると、実際の関係性を確かめる機会がないため、「やっぱりあの人は私のことを嫌いなんだ」という考えが強化され、悲しい気持ちも強くなります。そしてさらに自分だけの世界にこもるようになってしまいます。また同様に、いつもその人を避けるといった回避行動をとり続けている場合も、「私のことを怒っている」という考えは強まる一方で、それに伴って不安な気持ちはますます膨らんでしまいます。
このような悪循環が起こると、つらい気持ちがさらに大きくなったり、問題が悪化したりしてしまうため、認知行動療法ではこの悪循環を断ち切るように働きかけます。